あなたは「TOEICで900点」と聞いてどんな印象を持つでしょうか?「そんな高スコア取れるわけがない」「国際的に活躍できそう」など様々な印象を持たれるでしょう。
「取ってみたいけど難しそう」というイメージが一般的にありますね。
ただ、こう聞くと意外かもしれませんが、TOEIC900点は、実は効率よく勉強すれば十分狙えるレベルでもあるのです。
この記事を読めばあなたのTOEICについての理解が深まり、高得点を取るコツを知ることが出来ます。
TOEICとは?
まずはTOEIC試験について正しく理解しておきましょう。英語の資格試験には実用英語技能検定、国際連合公用語英語検定試験、TOEFLなど各種ありますが、中でも近年特に注目を浴びているのがTOEIC試験です。
TOEIC試験はTOEIC Programに基づいて行われる英語能力の試験で、世界160ヵ国、約14,000の企業・教育機関で利用されています。
TOEIC Programとは英語コミュニケーション能力を公平公正に評価する世界共通の基準で、一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が運営しています。
TOEICの問題はアメリカの非営利テスト開発機関ETSによって開発・制作されています。なお、留学時によく利用されるTOEFLもETSによる制作です。
TOEIC試験の種類は、下記になります。
聞く・読む英語力を測る | TOEIC Listening & Reading Tests |
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話す・書く英語力を測る | TOEIC Speaking & Writing Tests |
話す英語力を測る | TOEIC Speaking Test |
初・中級者の聞く・読む英語力を測る | TOEIC Bridge Listening & Reading Tests |
初・中級者の話す・書く英語力を測る | TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests |
一般に「TOEIC900点」などと表現されるのは上記の「TOEIC Listening & Reading Tests」で、TOEIC L&R (Listening & Reading)と略されます。
この記事でもTOEIC L&R (Listening & Reading)について扱っていきます。
TOEIC L&Rの試験内容
TOEIC L&Rの試験はこのような構成で、約2時間のマークシート方式です。
リスニング | 約45分間・100問 |
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リーディング | 75分間・100問 |
リスニングとリーディングの合計約2時間で、すべてマークシート方式のテストです。
テストは英文のみで構成されており、実用英語検定試験で見かけるような英文和訳・和文英訳などは出題されません。
テスト結果は10~990点までの5点刻みのスコアで評価されます。英語力に変化がなければ毎回同じスコアになるように設計されています。
試験は年10回、2月と8月以外のほぼ毎月行われていてネットから受験申し込みが出来ます。
なお昨今のコロナ対策のために受験を午前・午後にわける、会場内の座席配置の見直しなどの感染予防策を講じたこともあり、2021年10月実施回より受験料が改定されています。
改定前受験料(税込み) | 6,490円(5,846円) |
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改定後受験料(税込み) | 7,810円(7,150円) |
TOEIC900点の難易度・レベルとは?
では気になるTOEIC900点レベルとはどの程度とされているかを見ていきましょう。TOEIC Programを運営する一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会は次のように提示しています。
下記のグラフはTOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表です。
レベル | TOEICスコア | 評価(ガイドライン) |
---|---|---|
A | 860 | Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 |
B | 730 | どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 |
C | 470 | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 |
D | 220 | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 |
E | – | コミュニケーションができるまでに至っていない。 |
「TOEIC900点レベル」は、上記のガイドラインのAレベル、TOEICスコア860点以上に当てはまりますね。TOEICスコアがAレベルだと、下記能力があるとされています。
TOEICスコアAレベルの能力
- 自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。
- Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流ちょうに駆使する力を持っている。
TOEICスコアが860点以上で上記能力があるとされているので、860点を上回る「TOEIC900点レベル」だと間違いなく周囲からは「英語ができる人」と見られます。
TOEICの問題はマークシートですが、「TOEIC900点レベル」はまぐれでは絶対に取れません。本当に実力がないと取れない点数になります。
そしてその実力は「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」と認められるレベルなのです。
TOEIC900点を取るメリット
「TOEIC900点」は英語を流ちょうにあやつれるレベルですね。では「TOEIC900点」を持つことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
- 就職活動に有利
- 転職活動に有利
- 仕事上のスキルとして役立つ
- プライベートが充実する
就職活動に有利
「TOEIC900点」のスコアを保有していると、就職や転職に有利になります。
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会の資料では、約60%の企業が採用時にTOEICスコアを要件・参考にしているとされています。
新入社員の採用時にTOEICスコアを利用していますか?の問いの答えは下記のようなものでした。
- 要件としている:4.2%
- 参考としている:44.9%
- 新たに要件・参考とする可能性がある:6.3%
- 利用していない:44.5%
- 無回答:0.2%
新入社員の採用時に「TOEICスコアを利用していない」と答えた企業は半数以下なんですね。ちなみに新入社員の採用時に要件・参考とするTOEICスコアの平均は545点ほどでした。
転職活動に有利
新卒採用だけではなく、中途採用、すなわち転職活動でもTOEICのスコアが重要であるというデータがあります。
- 要件としている:10.2%
- 参考としている:43.6%
- 新たに要件・参考とする可能性がある:7.4%
- 利用していない:38.4%
- 無回答:0.4%
社員の中途採用時に「TOEICスコアを利用していない」と答えた企業は新入社員よりも少なく4割以下になっています。
中途社員だと「即戦力」の人材として採用することも多いので、余計英語力が新入社員よりも重視されているようです。そして中途採用時に要件・参考とするTOEICスコアの平均は620点ほどになっています。
楽天では幹部クラスの中途入社にはTOEICスコアが800点以上必要とも言われています。
仕事上のスキルとして役立つ
就職や転職の際に有利なだけでなく、仕事そのものにも役立つことも多いでしょう。
海外と直接取引をする部署でなくても、プログラミングなど英単語や英語の説明文が読めると圧倒的に便利です。
色々な場面で英語を使う機会は出てきます。
プライベートが充実する
また、仕事面以外にもプライベートで「TOEIC900点」を持つことはメリットが多いです。
ざっと紹介するだけでもこれだけのメリットがあります。
- セルフイメージが高まる
- 洋画・洋楽が楽しめる
- 海外旅行が楽しめる
TOEIC900点は達成感のあるスコアです。取得できたら「自分はよく頑張った」と思えるでしょう。
「TOEIC900点」レベルの英語力を身につけていれば洋画・洋楽もある程度は原語のままで理解できる部分も増えます。仕事だけでなく余暇でも楽しみがどんどん増えてきます。
英語が話せなくても「ツアーでハワイ旅行」などであれば特に困ることはないでしょう。でも「TOEIC900点」レベルの英語力があれば、1人で海外旅行してトラブルにあったとしても対処がしやすいのです。
「TOEIC900点」レベルであればかなり細かく状況を説明できるので何かあったときの安心感が違います。
「TOEIC900点」レベルの英語力を身につけると、仕事でもプライベートでも充実度が格段にあがります。
TOEICで900点は役に立たない?
日本語だけの環境であればTOEICで高得点をとっても役に立たないと思うかもしれません。しかし「TOEIC900点」を取得していて困るようなことは何もありません。
「取って損した!」なんて声は聞いたことがありません。
強いて言えば「TOEIC900点」はハードルが高いので「誰もがすぐに取れるものではない」ということでしょう。ただ、その分取得できた時のメリットは大きくなります。
海外から仕事上の取引先やお客様が来た時にもTOEIC900点レベルの英語力があれば十分ビジネスで対応でき、周囲からの評価も高まります。
普段英語をあまり使わないような環境であっても、いざという時に非常に役に立つことがあります。では「TOEIC900点」を取るためにはどうやって勉強していけば良いのでしょう。
次で詳しく見ていきましょう。
TOEIC900点を取るための勉強方法
TOEIC900点はなかなかのハードルの高さですが、取れない点数ではありません。チャレンジする価値のある点数ですので、コツをつかんで勉強しましょう。
TOEICで高得点を取得する秘訣とは?
TOEICで高得点を取得する秘訣は、とにかくTOEICの設問に慣れてスピーディーに解けるようになることです。
それにはTOEICの本番形式の模試問題を多く解くことが有効です。
TOEICの本番試験は毎月のように実施されるので慣れるためには度々受けることも良いのですが、模試問題を解くことで代用できます。
模試問題を解くと答え合わせ後に解法も確認でき、英語の実力もつきます。
英語の実力もつけながらTOEICの本番形式にも慣れ、問題を解くスピードアップにもなるのでTOEICの本番形式の模試問題はぜひできるだけ多くの回数を取り組むようにしましょう。
リスニングパートの勉強方法とコツ
リスニングパートは4つの部分に分かれています。リスニング問題は約45分間なので、集中して問題をよく聞いて重要部分を聞き漏らさないようにしましょう。
リスニングセッションの構成は以下の通りです。
リスニングセクション 約45分間 | ||
---|---|---|
PART1 | 写真描写問題 | 問題数:6問 時間:約4分30秒 |
PART2 | 応答問題 | 問題数:25問 時間:約8分 |
PART3 | 会話問題 | 問題数:39問 時間:約18分 |
PART4 | 説明文問題 | 問題数:30問 時間:約15分 |
PART1の写真問題
ひっかけに気を付けながら注意深く写真を見つつ、聞こえてくる問題に矛盾のない答えを選択します。
PART2の応答問題
問題文を読む必要はないので聞こえてくる問題文に集中し、質問の答えとして矛盾のないものを選択します。
PART3の会話問題
問題のディレクションが流れている間に問題文をさっと読んでおき、聞こえてくる問題のあたりをつけておきます。2,3人の会話なので「誰が何を言っているか」にも注意して聞きます。長めの会話もあるので集中力が途切れないように。
PART4の説明文問題
こちらも問題のディレクションが流れている間に問題文をできるだけ読んで流れてくる問題文の概要をつかんでおきます。
上記はTOEICのリスニングパートのテストを受ける際のコツですが、そのまま普段のTOEICリスニングの勉強をするときにも意識しておきたいコツにもなります。
普段の勉強の時にも音源から聞こえてくる英語問題文に集中し、問題を解く前には流れてくる問題文を予想・意識しながら設問の問題文を速読します。
リーディングパートの勉強方法とコツ
リーディングパートは3つの部分に分かれています。リーディング問題は75分間ですが読むべき文章量は多いです。時間切れにならないようにスピード感を意識して取り組みましょう。
リーディングセクションの構成は以下の通りです。
リーディングセクション 70分間 | ||
PART5 | 短文穴埋め問題 | 問題数:30問 |
PART6 | 長文穴埋め問題 | 問題数:16問 |
PART7 | 読解問題 | 問題数:54問 |
PART5の短文穴埋め問題
文法知識や語法の知識が問われます。普段から類似問題を多く説いておき、本番の試験でスピーディーに説く練習をしておきましょう。
PART6の長文穴埋め問題
広告文や案内文を読んで解く問題です。形式に慣れ、大意を組んで素早く解く練習をしましょう。
PART7の読解問題
とにかく時間との勝負です。TOEIC900点を狙うならどの問題も落とさないつもりで設問の答えを探しながら読解していきます。
TOEIC900点を取れるレベルは読解問題に出てくる問題文はすべて理解できるレベルです。
ただ時間がなくて解ききれない事もあるので、リスニングパートだけでなくリーディングパートも油断せず集中し、時間内に解ききれることを普段の勉強時にも意識しましょう。
まとめ
「TOEIC900点」を取るためには、とにかく問題形式に慣れてスピーディーに取り組むことが有効です。
リーディングパートもリーディングパートも少しでも良いので毎日取り組むようにしていると、英語そのものに慣れてきて理解するスピードも上がってきます。
TOEICは合格・不合格が出るテストではなく、結果はスコアで示されますよね。自分の向上が数値で示されるため、やりがいがあります。
今の自分の実力にあったレベルのTOEICの勉強から始めても勉強を続けていればスコアはどんどん伸びるので、TOEIC900点は十分狙えます。
TOEIC900点を保有しているメリットはとても多いので、ぜひチャレンジしてみてください。