IT分野では、国家資格から民間資格までさまざまな資格があります。スキルアップやキャリアアップを目的にIT資格の取得を検討しているが、何を取ればよいのか悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、今後のキャリアアップや転職に役立つIT資格をランキング形式でご紹介します。資格を取得するメリットや勉強方法、取得するうえでの注意点についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
おすすめIT資格ランキングTOP10
IT資格は数多く存在し、種類や難易度もさまざまです。ここでは数あるIT資格のうち、キャリアアップや転職に役立つ資格ランキングTOP10をご紹介します。
【第1位】ITパスポート
ITパスポートは、ITの仕組みや基礎知識を証明する資格です。国家資格であるため取得していると第三者から評価を受けやすいメリットがあります。
ほかの情報系の国家資格と比べると難度も低く、合格率は約60%と高めです。そのため、IT分野の基礎知識を身につけたい初心者が最初に目指す資格としておすすめです。
ITパスポート試験は、全国47都道府県で毎月開催されています。公式サイトでは会場ごとに3ヶ月先の開催状況を確認することが可能です。
【第2位】応用情報技術者
応用情報技術者は、コンピュータやITに関する応用レベルの知識・スキルを示す国家資格です。後述する基本情報技術者の上位資格となるため、取得後のスキルアップや転職活動に役立ちます。
ITエンジニアとしての応用力を試す試験なので合格率は約23%と低く、難度は高めです。
また、応用情報技術者は午前と午後に実施される2つの試験を受けなければなりません。
午前の試験では出題形式が多肢選択式(四肢択一)で、ITの基礎知識に関する問題が出題されます。午後の試験では出題形式が記述式となり、基本的なIT知識を応用レベルかつ実践的に使えるか問われます。
【第3位】マイクロソフトオフィススペシャリスト
資格名の通り、Microsoft社のOffice製品に関するIT資格です。WordやExcelなどの操作に関する能力を証明できるようになります。
試験科目は製品とバージョンごとに分かれているため、希望の試験科目を選んで受験する仕様になっています。
WordやExcelでは、一般レベルと上級レベルの2種類があります。一般レベルは基本的な操作が理解できるレベル、上級レベルは高度な機能を理解できているレベルでなければ合格は難しいでしょう。
それぞれ独立した試験になるため、一般レベルの資格を所有していなくてもエキスパートレベルを受験することができます。
【第4位】基本情報技術者
基本情報技術者は、システムエンジニアやプログラマーなどITエンジニアが共通して理解しておく必要がある基本知識を示す国家資格です。ITエンジニアを目指すうえで欠かせない資格の一つといえるでしょう。
試験範囲はマネジメントからテクノロジー、ストラテジ系(ビジネス戦略や情報系に関する法務など)までと幅広いです。また、上位資格の応用情報技術者と同じく午前と午後の2回に分けて試験が実施されます。
なお、情報処理技術者能力認定試験2級の第1部に合格している、さらにIPA認定の免除対象科目履修講座を受講・修了試験を合格している場合は、午前試験が免除されます。
【第5位】情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格です。サイバーセキュリティに関する専門知識・技術を証明する資格となります。情報セキュリティスペシャリスト試験の後続として平成29年4月に創設され、IT分野の資格において初めての士業となります。
IPAが行う国家試験のなかでも最高レベルにあたり、試験の難度は高く合格率は20%を満たないケースがほとんどです。しかし、強固なシステム設計・開発の支援、サイバー攻撃の調査分析といった情報セキュリティのプロとして働くためには欠かせない資格といえます。
【第6位】ITストラテジスト
ITストラテジストは、ITコンサルタントとして働く際に生かせる国家資格です。企業に対して高度なIT技術を用いた基本戦略の策定や提案などが行える知識・スキルを示すものとなります。
ITストラテジストの取得者は、厚生労働省によって専門職と認定されており、公認会計士や弁護士、医師といった士業と同等にあたります。
合格率は約15%と低いため、難度の高い資格といえるでしょう。取得していれば第三者からの評価は高くなり、転職活動にも役立ちます。元々持っているIT技術を生かしながら仕事の幅を広げたい方におすすめです。
【第7位】ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が行う国家資格です。ネットワークシステムに関する知識や技能を身につけることができます。
昨今ではさまざまな業種でIT化が進んでいることから、ネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアとして働くうえで取得しておきたい資格といえるでしょう。
ネットワークスペシャリストの合格率は約13%であるため、IPAが行う国家資格のなかでも難易度は高めといえるでしょう。それでも受験者数は1万人以上となることが多く、高度情報技術者試験のなかでも高い人気を誇ります。
論述解答が多いため、専門知識だけではなく、長文から的確に問題を見つけ出す力や文章力を身につけておく必要があります。
【第8位】オラクルマスター
オラクルマスターは、日本オラクル社が実施しているIT資格です。世界中で使われているデータベース管理システム「Oracle Datebase」シリーズに関する技術力を示す資格です。
データベースの運用や管理、SQL、トラベルシューティングなどOracle Datebaseに関する知識・技術の習熟度が問われます。
2021年のデータベース管理システム市場では、オラクルは第3位のシェア率を誇ります。長年高いシェアを誇るため、今でもデータベース管理にオラクル社の製品を使っている企業は多いと予想されます。
オラクルマスターを取得することで、Oracle Datebaseを扱える技術力を証明することが可能です。また、データベースの仕組みやSQLの基礎を身につけられる点もメリットといえます。
【第9位】データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が行っている国家資格です。高度なデータベースの企画や要件定義、開発、運用、保持に必要となる知識・技能を証明できるようになります。
データベース管理に関する知識が身につくので、データベース管理者やインフラ系エンジニアとして活躍したい方におすすめです。
こちらも高度情報技術者試験のなかでは最高レベルの資格であり、合格率は約17%と低い結果となっています。
試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つに分かれており、午後の試験では長文の読解問題が出題されるため、設問内容を正しく理解する読解力と正しく解答する論述力が必要になります。
【第10位】LPIC
LPIC(Linux Professional Institute Certification)はLinuxに関するIT資格であり、取得することでLinux技術者としての能力を証明します。
Linuxは、サーバー管理やWebアプリの開発環境など幅広い業務で使われているOSです。OSのシェア率はWindowsと比べると小さいものの、クラウドプラットフォームとの親和性やコストパフォーマンスの高さ、柔軟性に優れているなどのメリットがあることから採用している企業もあります。
そのため、LinuxのスキルはIT業界で働くうえで持っておきたいスキルといえるでしょう。資格を取得できればLinuxを扱える技術力を証明できるため、社内でも重宝されるはずです。
試験のレベルはLPIC-1からLPIC-3まであります。ステップアップ型となっているので、下位の試験から受ける必要があります。まずは入門者向け資格のLPIC-1の取得から目指しましょう。
IT資格を取得するメリット
ここからは、IT資格を取得するメリットについて解説します。IT資格を取得することで、仕事の場でどういったメリットがあるかご紹介しますので、気になる方はぜひご一読ください。
専門的な知識を得ることができる
IT資格を取得することで、専門知識を得ることができるでしょう。IT業界に転職したいと考えたとき、試験勉強や試験を通じて必要な知識を蓄えられます。基礎的知識が身につくことで、転職後も職場での業務に生かすことができるでしょう。
未経験からIT業界に転職したい人は、基礎知識をつけるために資格取得の勉強から始めることをおすすめします。
また、資格によっては上級レベルの試験もあります。基礎がしっかり身につけば、応用レベルの技術に発展させることが可能です。応用レベルの知識・技能を身につけ、スキルアップを目指すこともできます。
自分が持つスキルを第三者の視点から証明できる
IT業界では、経験やスキルが評価されるケースがあります。就職・転職での面接では、応募者の知識量やスキルを完全に把握することはできません。特に未経験からの転職では、経験が一切ない状態であるため、評価は難しくなります。
IT資格の取得には一定数の学習をこなす必要があり、難度の高い資格も多いので誰でも簡単に取れるものではありません。一方、資格を取得できている方は、一定の知識・技能を持つと客観的に判断することが可能です。
未経験者も難度の高いIT資格を取得することで基本的な知識・スキルがあると評価されます。
就職・転職の面接でIT技術に関して説明する際は、客観的な視点が必要です。資格という形で説明することにより、説得力が増します。
転職の際も優位になりやすい
上述した通り、IT資格は自分のスキルを客観的に証明できるため、資格を所有していない応募者と比べて優位に転職活動が行えます。転職活動を成功させるには、資格を取得し、ほかの応募者と差別化を図っていきましょう。
また、企業によっては資格手当を受け取ることができるケースがあります。手当の金額は企業によって異なりますが、資格を所有していることで給料が上がるため積極的に資格取得を目指して取り組むことをおすすめします。
IT資格取得の注意点
さまざまなメリットがあるIT資格ですが、取得を目指すうえで気をつけなければならない点があります。以下では、IT資格取得での注意点について詳しく解説します。
目的を明確にしたうえで資格取得の勉強をする
IT資格の取得するためには、目的を明確にしたうえで勉強することが大切です。目的が曖昧の場合、受験する資格が本当に必要なのか正しく判断ができません。
受験には高い受験料を支払わなければならず、勉強のために必要な教材を揃えるにもコストがかかります。
ほかに必要な資格が判明した場合、投資したコストが無駄になってしまう可能性があるでしょう。なぜその資格を取得するのか、将来を考えたうえで取得したい資格を選び、合格を目指して勉強しましょう。
IT資格は転職や独立、仕事など実務的に役立ち、お金を稼ぐために必要となります。趣味と混同せず、目標に合わせた資格の取得を目指しましょう。
資格取得だけでは意味がない
ただ闇雲に資格を取得しても、転職に生かせるわけではありません。IT業界は資格の数よりも実務経験やスキルの方が評価されてしまう傾向にあります。なかには、資格がなくても経験が評価されて採用や昇進している方もいるでしょう。
ただし、同じ実務経験レベルであった場合、資格を取得していればスキル・技能に関する客観的な評価がしやすくなるので有利になります。これまでの実績に見合った資格を取得できれば、社内の評価はより高まるでしょう。
企業から評価されるIT取得を目指す
どういったIT資格を取得するか悩んでいるときは、企業に評価されるIT資格がおすすめです。企業に関連性のない資格を取得しても評価されないことがあります。
趣味で資格を取得するのであれば問題ありませんが、就職・転職のために取得するのであれば、企業に評価される資格を取得すべきだといえるでしょう。例えば、マイクロソフトスペシャリストのような認知度の高い資格の方が企業からの評価は高くなります。
また、国家資格は法律により一定の社会地位が保証されているという特徴があります。そのため、社会的信頼が高く、第三者から評価されやすい資格なのでおすすめです。
自分がなりたい職種や企業が求めるスキルに合わせて、国家資格など評価を受けやすいIT資格の取得を目指してみてください。
効率よくIT資格を取得するための勉強方法
IT資格を得るためには、試験合格を目指して勉強をする必要があります。社会人の場合は、限られた時間を使って勉強をしなければなりません。ここでは、限られた時間で効率よく勉強する方法について詳しくご紹介します。
IT資格に関する問題集を購入する
過去問など書かれたIT資格試験に関する問題集は惜しまず購入しましょう。IT資格では参考書を読んで覚えるところから始めると、学習に膨大な時間がかかってしまいます。
それなら問題集を解いて答え合わせをするのを繰り返した方が効率よく知識が定着します。初めはわからなくても、繰り返し問題を解いていくことでスムーズに解答できるようになります。
過去問は実際に過去の試験に出題された問題が掲載されているので、その試験の傾向を把握するのにも役立ちます。傾向がわかれば、特にどこを重点的に学べばよいのか把握できるため、効率よく勉強できるようになるでしょう。
また、1回の勉強に長い時間をかけるよりも、短時間の勉強を何回も繰り返した方が効果的です。出勤や帰りの電車やバスのなか、休憩時間などの隙間時間を使って、インプット・アウトプットを繰り返していきましょう。
e-ラーニングを受講する
e-ラーニングは動画講義とテストを通して基礎知識を身につけることができます。問題集や参考書といった書籍を読んで学習するスタイルが苦手な方におすすめです。
e-ラーニングによってはパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットから受講できる場合もあります。動画もスマートフォンやタブレットから視聴可能なので、通信環境さえ整っていれば場所や時間を問わず学習可能です。
隙間時間を使って勉強をしたい社会人に適した勉強方法です。
また、おさらいしたいときにすぐ確認できるのもe-ラーニングの魅力です。よく間違える部分は繰り返し動画を見て、集中して覚えられます。
勉強計画を細かく設定する
勉強計画は細かく設定するようにしましょう。闇雲に勉強するだけでは頭に入らないケースもよくあります。どの時間、どのタイミングで、どんな勉強をするのかスケジュールを立てることは効率を上げるカギになります。
予定通りに勉強ができなかったときのために、いくつかプランを立てておくのもおすすめです。計画通りにできなかった罪悪感に感情が引っ張られると、勉強のモチベーションが下がる可能性があります。
朝勉強できなかった分は昼休憩に回す、休日の勉強時間を増やすといったように事前のプランも用意しておきましょう。
まとめ
IT分野には、ITパスポートや基本情報技術者、応用情報技術者などさまざまな資格があります。難度は資格によって異なりますが、入門レベルから高度な応用レベルまで存在します。
資格を取得することは、ITに関する基礎知識が身につくだけではなく、応用力を養うことも可能です。
国家資格から民間資格まで数多くの種類が存在するため資格選びに悩みますが、自分のやりたい仕事や目的に合わせて関連のある資格を取得することが重要でしょう。特に国家資格系は第三者から評価されやすいので、取得して損はありません。
自分の目的・目標を明確にし、ご紹介したランキングを参考にIT資格の取得を目指してみてください。